インドネシアのバリ島などからバリ家具を個人輸入するときの関税と関税手続きの方法について2回にわたって徹底解説する。今回はその1で、輸入関税とバリ家具に関係する法規をお伝えする。その2では、バリ家具の関税におけるさまざまな具体例をあげて解説する。この記事を読めば、どんなバリ家具でも簡単に個人輸入できる今まで誰も言わなかった内容だ。
バリ島に旅行し滞在先のホテルで、南国調のアジアンテイストのおしゃれなソファーやベットなどのバリ家具に興味を魅かれる人は多い。私ももちろんその一人だ。日本に帰ってきて、自分の部屋にこんなソファーやベット、チェストなどの家具があり、バリ島の雰囲気のインテリアにしたいと感じた人も多い。そういう意味で、バリ家具は昔から固定ファンが多い商材だ。
個人輸入ビジネスの世界でも「バリ家具」は根強い人気があり、売れ筋の商品カテゴリーになっている。日本のカフェやレストランなどの内装にもバリ家具は多く利用されている。なお、バリ島から個人輸入する場合には以下の記事が参考になる。
→【副業する人必読】バリ島個人輸入を絶対に失敗しないで稼げる方法
→【バリ島個人輸入】儲かる商品をキーワードから発見する方法
バリ家具を個人輸入するときの、現地仕入先とのメールのやり取りには、以下の記事に書いておいた文章を参考にすれば非常に便利だ。インドネシア語の文章をそのままコピペしても使える。
→ インドネシアの個人輸入に絶対役立つ文章例【見積もり編】
→ インドネシアの個人輸入に絶対役立つ文章例【注文編】
→ インドネシアの個人輸入に絶対役立つ文章例【トラブル回避編】
1.バリ家具の関税
2.バリ家具に関係する法規
3.バリ家具の輸入・販売規制
1.バリ家具の関税
バリ島の家具の輸入には関税はほとんどがかからない。「関税が無料」ということだ。ただし使っている材料や構成などによって関税が有料になる場合がある。それは、家具だと思って輸入しても、通関時に「家具」と判断されない場合があるからだ。
個人輸入ビジネスにおいては、関税が有料だと仕入れ値が高くなり、利益率が下がることになる。さらに関税が有料だと、同時に消費税もあるので手続きなども増えてしまう。ここでは、バリ島などのインドネシアから家具を個人輸入する場合に、関税と通関について最低限必要な知識として知っておくべきことをご紹介する。
税関ではどんな内容や順番で関税率を決めているのか、何が関税率を決めるポイントなのかをわかりやすく解説する。また、税関の実行関税率表は毎年2〜3回改定されているので、最新の情報を確認することも忘れてはならない。
1-1.バリ家具の個人輸入ビジネス
バリ家具を個人輸入して販売するビジネスは、今後さらに広がると言える。それは、バリ島などの海外にはまだ日本にないものがたくさんあるからだ。今までは海外旅行に行って買ったりしていたが、現在はインターネットとネットショップが世界的に広がり、気軽に海外の商品を購入できるようになった。日本に居ながら好みの商品を世界中から購入できると同時に自宅まで届けることができる物流も整備されてきた。
個人輸入の最大の利点は2つある。一つはまだ日本にないオシャレなものや珍しいものを購入できる。二つ目は安く買えることだ。その希少性と価格差を使ってビジネスで成功をしている人もたくさんいる。一般的には輸入転売などと呼ばれており、多くの人が参入しているが、まだまだ広がっていくだろう。理由としては、それぞれの趣味や趣向が細分化されているので、売れるカテゴリーさえ見つけてしまえば、密かに「一人勝ち」のパターンになれる。
売れるカテゴリーの中でも注目されているが家具であり、バリ家具は、女性やナチュラル趣向の人たちから根強い人気がある。またカフェや飲食店のインテリアとしても人気がある。
個人輸入というは、輸入者個人が使用する目的で輸入するものだ。個人で使用するため、輸入の際の手続きやリスクは輸入者の責任でおこなう事になる。リスクというのは、「お金を振り込んだが商品が送られない」といったことや、輸送中の破損や欠品はすべて輸入者の自己責任ということだ。輸入者である個人がすべて海外と直接やりとりする事になる。
では個人輸入は「個人使用目的」なので販売したら違法になるかというと、抜け道がある。それはヤフオクなどのオークションだ。輸入したものは個人のもので、その個人のものが必要なくなったからオークションで販売するというプロセスになる。現時点では違法だとは言えない。医薬品や化粧品など一部の商品は転売は禁止されているが、家具や雑貨には規制がほとんどない。
さらにバリ家具や雑貨にはほとんど輸入関税が無料で販売することが可能なので、個人輸入ビジネスを始めるには最適なカテゴリーになる。さらにビジネスを拡大したい場合には、楽天やヤフーショッピング、自社サイトなどで販売が可能だ。自社サイトなどで販売するときには、表示などの規制がある。(詳細は後述する)
私もバリ家具を個人輸入したことがある。ネットを使ってサイトを見つけ、メールで連絡して送ってもらった。以外と簡単だった。そのときに使ったメール文章は以下に載せておいたので参考にしてほしい。
→インドネシアの個人輸入に絶対役立つ文章例【見積もり編】
→インドネシアの個人輸入に絶対役立つ文章例【注文編】
→インドネシアの個人輸入に絶対役立つ文章例【トラブル回避編】
バリ家具を輸入するときの最大のポイントは、関税よりも輸送料金を下げることであると言える。輸送料金を下げるには船便のコンテナで運ぶことが良い。個人輸入が初めての人は、輸送料のあまりかからない小さな雑貨から始めることをオススメする。
1-2.バリ家具の関税のしくみ
関税とは、物品を輸入するときに国がかける税金だ。多くの場合は国内産業を保護する目的で、高い関税をかけると価格が上がり競争力がなくなる。しかし貿易する量が少なくなる。さらに消費者も高いものを買わされることになりビジネスが活性化しない。政府としては、国内産業の保護とビジネスの活性化のバランスをとっているが関税だ。最近ではTPP(環太平洋戦略的経済連携協定:Trans-Pacific Ecomomic Partnership Agreement)で、関税を下げる方向に進んでいる。加盟国の間での関税を下げることによって経済を活性化しようとするのが目的だ。
今までも国際的に関税を下げようとする動きがある。実質的に大きく分けるとEPA協定(経済連携協定)とWTO協定(世界貿易機関による協定)がある。バリ島があるインドネシアと日本の間にはEPA協定が締結されており、家具の分類ではすべて無税で輸入が可能だ。
・関税コード(HSコード)
個人輸入する商品の関税率を知るために必要になるのが関税コード(以後「HSコード」という)で、世界的にすべての物品を6桁の数字にして分類している。日本でのHSコードは、世界的に決められている6桁と日本独自の3桁を追加して、計9桁で表示している。
家具のHSコードは第94類で、94で始まる数字で表される。輸入品の材質、構造、製造方法、使い方、梱包方法などからHSコードが決められている。輸入品ごとにHSコードに分類される。そして輸入する国や協定(EPA協定やWTO協定)によって関税が決まってくる。家具のHSコードについては「バリ家具の関税コード早見表と実行関税率早見表」をみて欲しい。関税は輸入するものに関税率を掛けて計算する。バリ家具の場合にはCIF価格に関税率がかけられる。販売予定価格に対して関税がかかるわけではない。
[aside type=”normal”]CIF価格とは
貿易取引の価格の一つで、商品の価格と保険と運賃を加えた価格になる。Cost Insurance Freightの省略語。売主(輸出者)は荷揚げ地(通常は国内の近くの港)で積み込むまでの費用を負担する。積み込まれた時点で商品が渡されたとする。その後のリスクは買主(輸入者)が負担する。買主(輸入者)は運賃と保険料と商品価格を支払い、お客様に届けるまでの日本国内での輸送費等を負担する。[/aside]
・関税の支払い方法
個人輸入の場合の関税の支払いは、輸送方法によって3つに分けられる。
①国際書留郵便(EMS):郵便局が扱う小包で最大30キログラムまで可能。少額の場合には配達時に配達人に現金で関税を支払う。
②国際宅配便:フェデックス(Fedex)やディーエイチエル(DHL)などがある。関税は国際宅配便業者が代行してくれるので受取時に業者に支払う。
③一般貨物:フォワーダーと呼ばれる通関業者から連絡があり、書類を揃えて自分で保管されている倉庫に出向くか、業者に通関手続きを代行してもらう。関税の金額に応じて手続きが変わってくる。
私の場合には、関税がかからないようにする工夫をしている。バリ島などのインドネシアから輸入する場合には、日本インドネシアEPA協定のため20万円以下には関税が無料になる。一つの貨物について20万円を超えないように注文している。(一部物品によっては関税が有料の場合がある。) HSコードの第94類である家具については、20万円以上でも無税なので関税はかからない。
[aside type=”normal”]日本インドネシアEPA協定
日本とインドネシア経済連携協定(Japan-Indonesia Ekonomik Paertnership Agreement)は、2005年6月に締結され、2国間とも経済関係を強化するために、貿易や投資の自由化を目指している協定。貿易に関しては関税をほとんど廃止(無税)にする方向で段階的に進んでいる。現在では、95%以上の品目について無税となっている。ほかにも日本はフィリピンなどのアジア諸国を中心に2国間のEPA協定を締結している。 [/aside]
関税が有料の場合には同時に消費税もかかるので注意してほしい。消費税の計算方法は「【バリ島個人輸入】儲かるサンダルや革靴の関税手続きの方法徹底解説」の記事を読んでほしい。
1-3.関税率表のみかた
関税率は日本とそれぞれの外国との条約や協定によって細かく決められている。もととなるのは税関(財務省貿易統計)の「実行関税率表」だ。実行関税率は毎年2~3回改定されているので、必ず最新の関税率を確認してほしい。
実行関税率表:http://www.customs.go.jp/tariff/
実行関税率表のみかたは馴れていないとまったく理解できない。私も最初はまったく理解できなかった。一番のポイントは「その他のもの」と書いてあるものが何に対して「他のもの」なのか、を特定することだ。家具の関税についてはわかりやすくバリ家具関税コード早見表にしておいたので、関税率表に慣れていない人でもかんたんに理解できるだろう。財務省貿易統計のホームページでの実行関税率表のみかたは以下の順番でおこない、関税率を知ることができる。
①最新の実行関税率表をクリックする
②輸入する物の「部」を見つける。必要であれば「部注」をクリックして内容を確認しておく。
③輸入する物の「類」を見つける。必要であれば「類注」をクリックして内容を確認しておく。
④「統計番号」の「番号H.S code」で4桁+2桁を特定する。
⑤「統計細分」または「号」と呼ばれる3桁を特定する。
⑥関税率(基本・暫定・WTO協定・特恵・特別特恵)と経済連携協定Traff rate(EPA)の国を特定する。バリ家具の場合には、「インドネシア」の欄になる。
⑦HSコードと関税率の交わったところの数字が「関税率」になる。
1-4.個人使用目的と販売目的のちがい
個人輸入とは輸入者が個人的に使う目的で海外から物品を輸入することだ。個人使用目的であるため、すべてのリスクは輸入者がとることになる。例えばバイアグラなどを米国から輸入して使うこともできるが、副作用があったとしても個人の責任になる。しかし販売目的で医薬品や化粧品を輸入するには、輸入者は厚生労働省の認可などが必要だ。認可がなければ輸入することすら出来ない。家具の場合には、個人使用目的でも販売目的でも輸入は可能だ。
まずは個人で使用するのか、販売を目的とするのかによって、輸入できる物できない物があるということを覚えておいてほしい。個人使用目的でも販売を目的として輸入しても、自社サイトや実店舗で販売するときには国内規定の表示(原産国や仕様など)が必要になる。
つまり、一般に販売する場合には、実店舗でもネットを使って販売しても、なにかしらの日本語の表示が必要になる。そして問題が発生した場合には輸入者が責任をとることになる。例えば、椅子を輸入して販売した場合、表示された耐荷重以下で壊れてしまったら、輸入者が賠償したり、交換などのフォローをしなければならない。詳細は次章で詳しく解説する。なお、日本では輸入自体が禁止されている品目があるので、「輸入転売ビジネスではじめに知るべき規制品目一覧」を読んでおいてほしい。
2.バリ家具に関係する関税率の決まり
家具の関税率に関する決まりとしては家具(第94類)の類注だ。以下に内容の解説をしておいたので原文と比較しながら確認しておいてほしい。
・家具(第94類)の類注:http://www.customs.go.jp/tariff/2017_1/data/94r.pdf
2-1.家具(第94類)の類注
第 94 類 家具、寝具、マットレス、マットレスサポート、クッションその他これらに 類する詰物をした物品並びにランプその他の照明器具(他の類に該当するも のを除く。)及びイルミネーションサイン、発光ネームプレートその他これ らに類する物品並びにプレハブ建築物
注
1. この類には、次の物品を含まない。
⒜ 第39類、第40類又は第63類のマットレス、まくら及びクッションで、空気又は水を入れて使用するもの
⒝ 第70.09項の鏡で床又は地面に置いて使用するように設計したもの(例えば、姿見)
⒞ 第71類の物品 ⒟ 第15部の注2の卑金属製のはん用性の部分品(第15部参照)、プラスチック製のこ れに類する物品(第39類参照)及び第83.03項の金庫
⒠ 第84.18項の冷蔵用又は冷凍用の機器の部分品として特に設計した容器及びミシン用に特に設計した家具(第84.52項参照)
⒡ 第85類のランプその他の照明器具
⒢ 第85.18項の機器の部分品(第 85.18 項参照)、第85.19項若しくは第85.21項の機器の部分品(第85.22項参照)又は第85.25項から第85.28項までの機器の部分品(第85.29項参照)として、特に設計した家具
⒣ 第87.14項の物品
(ij) 歯科用たんつぼ(第90.18項参照)及び第90.18項の歯科用機器を取り付けた歯科用 いす
⒦ 第91類の物品(例えば、時計及びそのケース)
⒧ 家具及びランプその他の照明器具(がん具であるものに限る。第95.03項参照)、ビリヤード台その他ゲーム用に特に製造した家具(第95.04項参照)、装飾品(例えば、ちようちん。電気花飾りを除く。第95.05項参照)並びに奇術用家具(第95.05項参 照)
⒨ 一脚、二脚、三脚その他これらに類する物品(第96.20項参照)
2. 第94.01項から第94.03項までの物品(部分品を除く。)は、床又は地面に置いて使用するように設計したものである場合にのみ、当該各項に属する。 ただし、次の物品は、 掛け若しくは壁に取り付けて又は一方の上に他方を載せて使用するように設計したもの である場合においても当該各項に属する。
(a) 食器棚、本箱その他の棚付き家具(単一の段の棚で、壁に取り付けるための支持物 とともに提示するものを含む。)及びユニット式家具
(b) 腰掛け及び寝台
3. (A) 第94.01項から第 94.03 項までの部分品には、ガラス(鏡を含む)、大理石その他の石又は第68類若しくは第69類のその他の材料のシート及び板(他の部分品と結合してないものに限るものとし、特定の形状に切つてあるかないかを問わない。)を含まない。
(B) 第94.04項の物品は、第94.01項から第94.03項までの物品の部分品であつても、単独で提示する場合は、第94.04項に属する。
4. 第94.06項において「プレハブ建築物」とは、工場で完成した建築物及び現場で組み立てて完成することが可能な要素としてまとめて提示する建築物(例えば、家屋、作業 現場の宿泊設備、事務所、学校、店舗、物置、ガレージその他これらに類する建築物) をいう。
上記の原文をみただけでは、なんのことかよく理解できない。そこで以下に家具(第94類)の注の解説をしておく。
1. この類には、次の物品を含まない。
⒜ プラスチック(第39類)、ゴム(第40類)、紡績用繊維性(第63類)のマットレス、まくら及びクッションで、空気又は水を入れて使用するもの。
[aside type=”normal”]補足説明:
詰物の材料が、綿、セルラーラバー、多泡性プラスチックなどの場合には寝具その他これに類する物品(第94.04項)になる。[/aside]
⒝ ガラス鏡(第70.09項)の鏡で、床又は地面に置いて使用するように設計したもの(例えば、姿見)
⒞ 天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を張つた金属並びに これらの製品 (第71類)
⒟ ①卑金属製のはん用性の部分品(第15部注2)
②プラスチック製のこれに類する物品(第39類)
③金庫(第83.03項)
⒠① 冷蔵用又は冷凍用の機器の部分品(第84.18項)
②ミシン用に特に設計した家具(第84.52項)
http://www.customs.go.jp/tariff/2017_5/data/j_84.htm
⒡ ランプその他の照明器具(第85類)
[aside type=”normal”]補足説明:
シャンデリアや天井用電気照明器具、イルミネーションサインは家具(第94.05項)になる。[/aside]
⒢ ①電気機器の部分品(第85.18項)
②電気機器の部分品(第85.19項、第85.21項)
③電気機器の部分品(第85.25項、第85.26項、第85.27項、第85.28項)
として特に設計した家具
http://www.customs.go.jp/tariff/2017_5/data/j_85.htm
(ij) ①歯科用たんつぼ(第90.18項)
②歯科用機器を取り付けた歯科用いす(第90.18項)
http://www.customs.go.jp/tariff/2017_5/data/j_90.htm
⒦ 時計及び部分品(第91類)(例えば、時計及びそのケース)
⒧ ①家具及びランプその他の照明器具(がん具であるものに限る)(第95.03項)
②ビリヤード台その他ゲーム用に特に製造した家具(第95.04項)
③装飾品(例えば、ちようちん。電気花飾りを除く)(第95.05項)
④奇術用家具(第95.05項)
http://www.customs.go.jp/tariff/2017_5/data/j_95.htm
⒨ 一脚、二脚、三脚その他これらに類する物品(第96.20項参照)
2. 家具(第94類)に分類されるもの
[aside type=”warning”]基本:
床又は地面に置いて使用するように設計したもの(第94.01項、第94.02項、第94.03項、部分品を除く)[/aside]
①掛けたり、壁に取り付けて使用するように設計したもの
②一方の上に他方を載せて使用するように設計したもの
であっても以下のものは家具(第94類)に分類される
(a) 食器棚、本箱その他の棚付き家具(単一の段の棚で壁に取り付けるための支持物とともに提示するものを含む)、ユニット式家具
(b) 腰掛け及び寝台
3. 家具(第94類)の内での決まり
(A)腰掛け(第94.01項)、医療用、獣医用備品及び理髪用いす(第94.02項)、その他の家具(第94.03項)の部分品で、以下のものは家具(第94類)に含まない。
a:ガラス、鏡(第70類)
b:大理石、その他の石(第68類)
c:その他の材料のシート、板(第69類)(他の部分品と結合していないものに限る)
[aside type=”normal”]
HSコードが異なる場合それぞれの類による分離課税になる。
分離課税とは、一つの貨物の中に異なる関税コードに分類されるものが2つ以上混在している場合、それぞれの物品に対してそれぞれの関税率がかかるということ。[/aside]
(B) 寝具その他これに類する物品及びマットレスサポート(第94.04項)の単品や部分品として提示する時の分類
腰掛け(第94.01項)、医療用、獣医用備品及び理髪用いす(第94.02項)、その他の家具(第94.03項)までの物品の部分品であつても、第94.04項に属する。
4. 第94.06項において「プレハブ建築物」とは、工場で完成した建築物及び現場で組み立てて完成することが可能な要素としてまとめて提示する建築物(例えば、家屋、作業 現場の宿泊設備、事務所、学校、店舗、物置、ガレージその他これらに類する建築物) をいう。
2-2.関税率表の解釈に関する通則
家具(第94類)の類注に書かれていたり、関税率表に書かれている決まりについて解説するので確認しておいてほしい。
・関税率表の解釈に関する通則(輸入統計品目表の解釈に関する通則)の中で「通則2」と「通則3(b)」
・関税率表の解釈に関する通則3(b)
【関税率の解釈に関する通則で2と3を抜粋】
通則2:
(a) 各項に記載するいずれかの物品には、未完成の物品で、完成した物品としての重要な特性を提示の際に有するものを含むものとし、また、完成した物品(この通則2の原則 により完成したものとみなす未完成の物品を含む。)で、提示の際に組み立ててないも の及び分解してあるものを含む。
(b) 各項に記載するいずれかの材料又は物質には、当該材料又は物質に他の材料又は物質を混合し又は結合した物品を含むものとし、また、特定の材料又は物質から成る物品には、一部が当該材料又は物質から成る物品も含む。二以上の材料又は物質から成 る物品の所属は、通則3の原則に従つて決定する。
通則3:
2(b)の規定の適用により又は他の理由により物品が二以上の項に属するとみられる場 合には、次に定めるところによりその所属を決定する。 (a) 最も特殊な限定をして記載をしている項が、これよりも一般的な記載をしている項に優先する。ただし、二以上の項のそれぞれが、混合し若しくは結合した物品に含まれ る材料若しくは物質の一部のみ又は小売用のセットの構成要素の一部のみについて記 載をしている場合には、これらの項のうち一の項が当該物品について一層完全な又は詳 細な記載をしているとしても、これらの項は、当該物品について等しく特殊な限定をし ているものとみなす。
(b) 混合物、異なる材料から成る物品、異なる構成要素で作られた物品及び小売用のセ ットにした物品であつて、(a)の規定により所属を決定することができないものは、こ の(b)の規定を適用することができる限り、当該物品に重要な特性を与えている材料又 は構成要素から成るものとしてその所属を決定する。
(c) (a)及び(b)の規定により所属を決定することができない物品は、等しく考慮に値する 項のうち数字上の配列において最後となる項に属する。
以上の原文では理解するのが難しいので、以下に解説を書いておく。
①最も特殊な限定を記載している場合(例:貴金属や毛皮を使っている、自動車用に限定しているなど)
→一般的な記載している項に優先。記載していない場合には、一般的にみて分類される
②未完成品は税関に提示したとき1セットになっている場合
→完成品とみなす。日本で加工する場合には完成品としない。
③2種類以上の材料を使っている場合や2種類以上の物質が混ざっている場合は、通則3に従う。
【通則3の解説】
①②③④のどれかに当てはまるとき
→物品に重要な特性を与えている材料、物品に重要な特性を与えている構成部品から所属を決める。
①2種類以上の材料でできている物
②材料がちがう複数の物でセットになっている物
③小売用のセットになっている物
④(a)の規定では決定できない場合(一般的な項が優先される)
例:プラスチック製の棚板と鉄製の脚からなる棚→棚板が「ものを置くための棚」という重要な役割をもっている。棚板がなければただの鉄製でできた脚であり、「ものを置くための棚」という使い方に脚は重要ではないと判定→棚板が重要な特性を与えている→棚板の材質が所属する分類になる。
2-3.関税率法解説と分類例規
関税率表の「類注」とは別に「解説」と分類するための国際例規と国内規定があるので確認してほしい。
・関税率表解説及び分類例規:http://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/
3.バリ家具の輸入販売規制
バリ家具についての輸入規制と販売の際の規制やルールについてご紹介する。バリ家具を輸入販売する個人輸入ビジネスをはじめる時には、必ず知っておくべき基礎知識になる。
3-1.バリ家具のワシントン条約
ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約))は、野生動植物の種が必要以上に国際取引に利用されることのないように保護する条約だ。バリ家具に使用される木材が、ワシントン条約の付属書に記載されていないことを確認する必要がある。特に、2017年1月2日より、マメ科ツルサイカチ属(ローズウッド)、ブビンカ属3種、アフリカローズウッドが付属書Ⅱに新たに追加されている。また、従来よりマホガニーが登録されている。ワシントン条約及び植物類の付属書の一覧は以下を見てほしい。
ワシントン条約→http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/index.html
ワシントン条約付属書→http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/download/cites_appendices_flora.pdf
3-2.消費生活用製品安全法(PSCマーク)
消費生活製品安全法により、消費者の生命・身体に対して危害を及ぼすおそれが多い製品について、技術上の基準に適合したPSCマークがないと販売できない。その規制対象の「特別特定製品」に指定される製品には、第三者機関の検査が義務つけられている。バリ家具の分野において特別特定製品にしていされているのは「乳幼児ベット」になる。
つまり、乳幼児ベットを販売するには、第三者機関による検査が必要になる。検査機関や規定の詳細は以下の経済産業省のページを見てほしい。
→http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/index.htm?PHPSESSID=e7aa1
3-3.製品安全(SGマーク)
バリ家具の場合には任意になるが、第三者機関である一般財団法人製品安全協会による検査に合格した製品にSGマークを表示できる。SGマーク製品において欠陥で事故が起きた時には、対人賠償保険が給付される制度になっている。バリ家具においては以下の製品が対象になる。
・乳幼児用ベッド、乳幼児用いす、乳幼児用ハイチェア、乳幼児用揺動シート、乳幼児用テーブル取付け座席、幼児用ベッドガード、乳幼児用移動防止柵
・食器棚、育児用たんす、二段ベッド、レンジ台付収納庫、座いす
3-4.家庭用品質表示法
家庭用品質表示表により、一般消費者向けに販売する場合には、輸入業者や販売業者により日本語での表示が必要になる。バリ家具においては、家庭用品質表示法に基づく雑貨工業品品質表示規定があり、机、テーブル、いす、腰掛け、座椅子が対象製品になる。これらの製品においては個別表示義務事項がある。詳細は、消費者庁のページを見てほしい。
→http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/
3-5.電気用品安全法
電気用品安全法とは、電気用品の安全性を確保して、危険及び障害の発生を防止するための法律になる。白熱電球、蛍光ランプ、つり下げ型の蛍光灯器具、電気スタンド、装飾用電灯器具、LEDランプは、「特定電気用品以外の電気用品」になる。具体的には、卓上の電気スタンドやベットの付属している読書灯、シャンデリア、クリスマスツリーもふくまれる。電気用品安全法の詳細は経済産業省のページを見てほしい。
→http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/act_outline.html
輸入事業者は、事業開始から30日以内に経済産業局に「電気用品輸入事業届出書」を提出する。製品については、経済産業省令の検査を実施し、記録を3年保存する。さらに、販売時に「PSEマーク」、届出事業者名、定格などの表示をしなければならない。卓上スタンド蛍光器具は、電気機械器具品質表示規定による表示が必要になる。
また、自主規制として、家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約、景品類の提供の制限に関する公正競争規約、表示に関する公正競争規約があるので、確認をしておくことだ。
3-6.資源有効利用促進法
[出典:http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/index03.html#05]
文字どうり資源の有効利用を促進する法律で、輸入販売業者は自主回収・再資源化への取り組みと分別回収に関する表示事項が義務付けられている。家具においては、金属製家具(金属製の収納家具、棚、事務用机及び回転いす)が対象製品になる。原材料等の使用の合理化、長期間の使用の促進その他の使用済物品等の発生の抑制に取り組み、再生資源又は再生部品の利用の促進(リユース又はリサイクルが容易な製品の設計・製造)に取り組むことが求められている。
ただし、売上高が7,000万円以下で、従業員が5名以下の小規模事業者については、識別表示の義務はあるが、罰則等は適用さない。資源有効利用促進法の詳細については以下を見てほしい。
→http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/entrepreneur/index.html
3-7.景品表示法
景品表示法の正式名称は、不当景品類及び不当表示防止法になる。商品やサービスの品質や内容、価格などと偽って表示したり、景品類の最高額を制限する法律になる。例えば、木材家具の場合に、使用している材木の種類を偽ったり、中国で生産されたのに「Made in Bali」などと表示することは違法になる。または、ネット販売においても、実際により良く見せかける表示も含まれる。景品表示法の詳細については、以下を見てほしい。
→http://www.caa.go.jp/representation/pdf/110329premiums_1.pdf
3-8.特定商取引法
特定商取引法は、事業者による悪質な勧誘行為等を防止して、消費者の利益を守ることを目的とする法律だ。バリ家具をネットを通じて販売する場合には、通信販売になり、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を規定している。具体的には、会社名や住所、電話番号、販売方法、返品等の方法について、表示する必要がある。特定商取引法についての詳細は以下をみてほしい。
→http://www.no-trouble.go.jp/
まとめ
おしゃれなソファーやベットなどのバリ家具をインドネシアのバリ島から個人輸入するときの輸入関税や手続きについて徹底解説した。
はじめてバリ島から個人輸入する方でも関税と通関の手続きについて、できるだけわかりやすく解説した。バリ島があるインドネシアから家具を輸入するときにはほとんどのものが関税率がゼロで、無税となる。
しかし、私たちが一般的に「家具」だと思い込んでいるものが、関税では家具とはまったく違う分類になっている場合がある。実際に家具を輸入するときには、どのHSコードになるのかを必ず確認してほしい。特に電気製品や革を使った製品には手続きが煩雑になったり、高い関税率がかけられるので注意してしほしい。
なお、家具の関税率については「バリ家具の関税コード率早見表と関税率早見表」を見てほしい。その2では、家具に関係する商品の関税についてさまざまなパターンについて具体例をあげながら解説する。
以上「【バリ島個人輸入】バリ家具の輸入関税徹底解説その1」と題してご紹介した。
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