バリ島(インドネシアを含む)から個人輸入する商品の関税を無料にする(免税する)方法をご紹介する。中国やアメリカなどから商品を輸入した場合、関税が無料になる条件は、課税価格が1万円以下の場合だけで、課税価格が20万円以下の場合は、少額貨物の簡易税率が適用され有料になる。しかし、バリ島から個人輸入する場合、ある条件を満たすことによって、課税価格20万円までは関税を無料にできる。つまり、バリ島やインドネシアからの輸入のほうが、格段に仕入れコストを下げることができ、利益を上げることができるのだ。

今回はバリ島個人輸入の輸入関税を無料にする(免税する)にあたって、どんな条件を満たせば関税が無料(免税)になるのか、また、どんな場合に関税がかかるのか、関税がかかる場合の支払い金額はいくらか? などについてお伝えする。バリ島やインドネシアから個人輸入をしようとする人や、ライバルが多く競争が激しい中国輸入から脱却したいと考えている人にとっては、非常に役に立つ内容になっている。

バリ島個人輸入ビジネスには必要な基礎知識として解説しておいたので合わせて読んでほしい。
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目次
1.バリ島からの個人輸入の関税について
2.バリ島個人輸入関税を無料にする方法
3.バリ島個人輸入に関税がかかる商品とは
4.バリ島個人輸入の関税と消費税の計算方法

1.バリ島からの個人輸入の関税について

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バリ島を含むインドネシアから物品を輸入する場合には、一部を除き、課税価格が20万円以下の場合は関税が無料になる。さらに、20万円以上であっても、ほとんどが関税が無料(免税)になってり、基本税率と比べてかなり低い税率だ。その理由は日本とインドネシアの経済連携協定(以後、EPA協定という)を締結してるからだ。

1-1.日本インドネシア経済連携協定(EPA協定)

EPA協定でのメインテーマは、「輸入関税を段階的に下げていき、最終的には無税にする」という2国間だけに適応する協定だ。輸入関税を下げると相手国との貿易が盛んになり、経済発展できるということだ。輸入関税を下げると、商品の値段が下がり、輸入した国の人が商品を安く買える。ここには政府間の思わくが存在する。

日本がインドネシアとEPA協定を結んだのは2007年8月で、交渉及び締結は小泉元首相がおこなっていた。それ以前よりも2国間の貿易は盛んであったが、EPA協定を結ぶことで両国とも発展できると予想したからだ。

日本側の思わくは、天然ガスをメインとして地下資源をより多く輸入したかった。2016年でも日本の天然ガスの8.4%(2,787億円)がインドネシア産だ。EPA協定の交渉が始まった当時の2002年には34%(5,249億円)であったからだ。
出典:http://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/data/fy8_3.pdf

インドネシア側の思わくは、経済を安定的に発展するため雇用を増やす工場などの投資をして欲しかったのだ。日本から工場などの投資を加速させるためには、インドネシアの工場で生産されたモノが安く日本に輸出できること、つまり、日本の輸入関税が安くしないと投資先として工場が建設されないからだ。

他にも両国の思わくがあるが、結果として両国ともEPA協定によって、輸入関税率を段階的に下げることによって、国内産業を守りながらゆっくりと関税を下げてきたのだ。その結果、EPA協定を締結後10年以上経過した現在では、インドネシアからのほとんどの物品は、輸入関税が無料になっている。

1-2.バリ島から輸入はEPA協定により20万円以下は免税

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EPA協定には課税価格が20万円以下は関税が無料になるという取り決めがある。輸入する物品が少額であれば関税を撤廃する、つまり関税を無料にする、という取り決めだ。その金額のリミットが20万円になっている。中国やアメリカからの輸入の場合だと、免税になるのは課税価格が1万円以下だ。

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バリ島個人輸入ビジネスにとって、この20万円以下は関税が無料になるというのが最大の利点になる。ただし、EPA協定税率を適用するにはインドネシア原産で必要がある。バリ島からの輸入関税についての概略図を以下に示す。この概略図のように、バリ島やインドネシアからの輸入は、他の国よりも関税が無料になる条件が有利になる。なお、原産地証明については次項で詳しく解説する。

1-3.バリ島輸入はHSコードが関税の基本

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日本に輸入される商品のすべてには、関税コード(以後、HSコードという)がつけられる。インボイス、通関時、関税率には必ずHSコードが使われる。HSコードは、財務省の実行関税率表の品名からHSコードを特定する。関税額を計算するには必ず必要になるので、輸入する商品のHSコードを調べておいてほしい。HSコードは、以下の実行関税入率表より調べることができる。
http://www.customs.go.jp/tariff/index.htm



HSコード
HSコード(Harmonized Commodity Description and Coding System)とは、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約に基づいて定められた6桁のコード番号になる。現在200カ国以上がHSコードを使用しており、世界標準のコードと言える。日本では、このHSコードに3桁を追加して細分化し、9桁によって運用されている。

1-4.バリ島個人輸入関税の適用順序

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実行関税率表に書かれている関税率の適応順序について解説する。バリ島やインドネシアから輸入する場合には、まず「EPA協定」のインドネシアの欄の関税率を使用する。インドネシアの欄が空欄の場合や、EPA協定の要件(原産地証明など)を満たしていない場合には、WTO協定税率になる。バリ島やインドネシアから輸入する場合には、この2つを確認しておけば良い。なお、WTO協定に加盟していない国からの場合には、基本税率が適用される。

上記写真の例のように革製のサンダル場合には、インドネシアEPA協定では2.2%であるのに、WTO協定税率は30%または1足あたり4,300円になってしまう。さらに、基本税率では60%または1足あたり4,800円と高額な関税率になっている。逆にいうと、バリ島(インドネシアを含む)からの輸入であれば、かなり安く仕入れることができるのだ。


WTO協定
WTO(World Trade Organization)とは、世界貿易機関になる。ウルグァイ・ラウンドにおいて策定された「WTOを設立するマラケシュ協定」がWTO協定になる。基本的には、モノ、サービス、知的所有権、環境等の各協定から構成される多角的貿易協定になる。加盟国間の関税は原則として基本税率より低くなっている。2016年7月現在では、日本、インドネシアも含み164ヵ国や地域は加盟している。加盟国は以下のリストを参照してほしい。
http://www.kanzei.or.jp/refer/wto.htm

2.バリ島個人輸入関税を無料にする方法

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バリ島やインドネシアから個人輸入する商品において、関税を無料にするには3つの方法がある。「課税価格20万円以下にする」、「原産地証明をする」、「商品の材料などを変更する」の3つだ。ぞれぞれ解説しよう。

2-1.バリ島個人輸入で課税価格20万円以下にする

EPA協定により、20万円以下の商品については関税が無料になる。ただし、次項で説明する「関税が有料になる物品」には、20万円以下でもEPA協定税率が適用されるので注意してほしい。関税が有料になる代表的な物品としては、革製の靴やサンダル、皮製の衣類、シルバー製品、タバコ、米、砂糖類、などがある。

20万円以下で、「関税が有料になる物品」以外を輸入するには、原産地証明書は必要ない。しかし、商品のタグやインボイスなど「原産地であること」を示す必要がある。例えば、タグには「Made in Indonesia」または、「Made in Bali」などの表示があればよい。なお、原産地を偽って申告することは、法律に違反するので絶対にしないでほしい。

2-2.バリ島個人輸入での原産地証明

インドネシア(バリ島を含む)から20万円以上の物品を輸入する場合には、実行関税率表による関税がかかる。特に注意することは、EPA協定税率とWTO協定税率が異なる場合だ。原産地証明をしないと、WTO協定税率になり関税率が上がってしまう。EPA協定税率が適用されるには、原産地証明書と運送要件証明書の2つの書類を税関に提出することが必要だ。運送要件証明書とは、複数の国を経由した場合に、運送途中で加工がされていないことを証明する書類だ。以下に原産地証明書の記入方法を載せておくので参考にしてほしい。

バリ島個人輸入関税無料7[出展:http://www.customs.go.jp/roo/text/indonesia6.pdf]

原産地証明書は、貨物ごとにインドネシアの商務省に届けて許可を得る。同じ商品を輸入する場合であっても、輸入する貨物ごとに毎回取得しなければならない。運送要件は、運送会社や海運会社から取得する。これも輸入インボイスごとに必要になる。買付けや仕入れの際には、原産地証明ができるかどうかを必ず確認してほしい。

もし、この2つの書類が日本の税関に提出されないと、自動的にWTO協定税率が適用され、かなり高い関税率になってしまうので注意してほしい。例えば、革製のサンダルの場合には、EPA協定税率が2.2%であるが、WTO協定税率では「30%または4,300円/足のいずれか高い税率」になってしまう。[2017年5月16日版]

2-3.バリ島個人輸入商品の材料を変更

商品の材料を変更するという方法もある。例えば、一部に革を使用している靴やサンダルの革の部分をプラスチックやゴムに変更すれば、HSコードが変わり無税になる場合がある。デザインも変わってくるので最後の手段になるが、関税を無料にしたい場合には有効な方法だ。

また、OEM商品やオリジナル商品を製作する場合には、関税率からどんな材料であれば関税が無料になるのかを確認することだ。商品の企画段階から材料などを検討しておくことで、仕入れコストを下げることができる。

3.バリ島個人輸入に関税がかかる商品とは

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バリ島を含むインドネシアからの輸入品は、EPA協定により課税価格が20万円以下の場合には無税になる。しかし、20万円以下の物品でも関税がかかる商品がある。ここでは、20万円以下でも関税がかかる商品カテゴリー別にご紹介する。以下の関税がかかる商品のフローチャート(概略)を見てほしい。
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3-1.関税を免除することを適当としない物品

関税定率法施行令による、関税を免除することを適当しない物品を一覧表にまとめた。つまり、以下のHSコードのバリ島個人輸入商品には、20万円以下であっても原産地証明をした場合にはEPA協定税率がかかり、原産地証明されない場合にはWTO協定税率がかかることになる。詳細については、関税定率表施行令第十六条の三「関税を免除することを適当としない物品の指定」を見てほしい。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29SE155.html

【関税を免除することを適当としない物品の指定】

No. 品名(概要) HSコード
1 1006
2 甘しゃ糖やしょ糖 1701
3 砂糖を使ったぶどう糖 1702.30 2の⑴、1702.40の2、1702.60の2、1702.90の1,2,5の⑵のA
4 調整食料品 2106.90の2の(2)A、E(a)のハ(ロ)
5 革製のバック類 4202.11、4201.21
6 革製の衣類 4203.21、4203.29
7 メリヤス編みまたはクロセ編みの衣類 6101~6110
8 乳幼児用のストッキング、衣類 6111
9 スキーウェア、水着等 6112~6114
10 ストッキング、靴下類 6115.10の1、5115.21、6115.22、6115.29
11 スキー靴 6401.10の1、6401.92の1
12 スキー靴、スノーボードブーツ類 6402.12の1
13 革製の履物 6403
14 毛皮を使った履物 6404.19の1、6404.20の1,2
15 革製の履物 6405.10の1
16 毛皮を使った履物 6405.90の1の(1),(2)のA
17 本邦に入国する者がその入国に際して携帯し、又は別送して輸入する物品
18 関税暫定措置法第十四条第一項 (沖縄県から出域をする旅客の携帯品に係る関税の免除)による物品

3-2.少額輸入貨物に対する簡易税率を適用しない貨物

関税定率施行令による少額輸入貨物に対する簡易税率を適用しない貨物をまとめた。詳細については、関税定率施行令第一条の三「少額輸入貨物に対する簡易税率を適用しない貨物」を見てほしい。
→ http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29SE155.html

【少額輸入貨物に対する簡易税率を適用しない貨物】

No. 品名(概要) HS code
1 ミルク、クリーム等 0401~0405
2 雑豆(乾燥した豆) 0713
3 穀物(第10類全部) 1001~1008
4 穀粉等(第11類全部) 1101~1109
5 落花生及びこんにゃく芋 1202.30.011~1212.99.190
6 豚肉及び牛肉の調製品 1602.41~1602.50
7 ココア調製品 1806.20.311~1806.20.322、1806.90.311~1806.90.322
8 穀粉・穀物の調製品 1901、1904
9 調製食料品 2101、2106(2106.90.248を除く)
10 たばこ 2401~2403
11 精製塩 2501.00.010
12 石油 2709~2711
13 メントール 2906.11
14 原皮・革 4101~4115
15 革製品 4201~4206
16 繭・生糸 5001~5002
17 ニット製衣類 6101~6117
18 履物 6401~6406
19 身辺用細貨類(卑金属製以外) 7117.90
20 革製の携帯用時計バンド 9113.90.110~9113.90.210
21 革製の腰掛けの部分品 9401.90.021~9401.90.029

4.バリ島個人輸入の関税と消費税の計算方法

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関税が有料になる場合の関税額と消費税額の計算方法をお伝えする。関税は、課税価格に関税率を掛け合わせた金額になる。消費税は、課税価格と関税額の合計から消費税率を掛け合わせた金額になる。関税が有料になる場合には、同時に消費税もかかるので同時に税関に支払う必要がある。関税が無料になる場合には、消費税も無料になる。

課税価格は通常CIF価格になる。関税率は輸入する商品と輸入する国や協定によって決まる。関税率は、以下の財務省の貿易統計の輸入統計品目表(実行関税率表)より見ることができる。
http://www.customs.go.jp/tariff/index.htm



CIF価格
CIF(Cost Insurance and Fright)の略で、価格と保険と運賃が合算された価格だ。輸出業者が貨物を輸入港で荷揚げするまでの費用になる。輸入関税と国内の輸送費などは輸入者(受け取り側)が負担する貿易取引になる。

4-1.関税額の計算方法

関税は課税価格に関税率を掛け合わせた金額になる。つまり、以下のような計算式になる。

関税 = 課税価格 × 関税率

例えば、課税価格が30万円で、関税率が30%であれば、関税は以下のようになる。

関税 = 30万円 × 0.3(30%) = 9万円(100円未満は切り捨て)

4-2.消費税額の計算方法

輸入する商品に関税が有料になると、同時に消費税も支払う必要がある。無税であれば、消費税も払う必要はない。消費税には、国に収める消費税と、地方自治体に収める地方消費税があり、合計を貨物を受け取る際に関税に支払う。2019年10月1日までは消費税が6.3%,、地方消費税が17/63(1.7%)で、消費税合計が8%になる。2019年10月1日以降は合計が10%になる。

消費税の計算(概算)は以下のようになる。

消費税額(国税) = (CIF価格 + 関税額) × 0.063
地方消費税額 = 消費税額(国税) × 17/63

例えば、上記の例のようにCIF価格が30万円で関税額が9万円の場合には以下の計算になる。

消費税額(国税)= (30万円 + 9万円) ×0.063 = 2,457円 → 2,400円(100円未満切り捨て後)
地方消費税額 = 2,400円 × 17/63 = 647
消費税合計額 = 2,457円 + 647円 = 3,104円 → 3,100円(100円未満切り捨て後)

消費税合計額は、3,100円になる。結果、税関には9万円 + 3,100円 =93,100円を支払うことで、荷物を受け取ることができる。

まとめ

バリ島やインドネシアから個人輸入する商品の関税を無料にする(免税する)方法をご紹介した。関税を無料にするには、「課税価格を20万円以下にする」、「原産地証明をする」、「材料を変える」という方法がある。

バリ島個人輸入ビジネスにとっては、20万円以下であれば関税が無料になることは、非常に有利になる。中国やアメリカなどから輸入する場合に比べて、関税が無料にすることで仕入れコストを下げて、利益をあげることができる。ただし、20万円以下でも関税が有料になる商品があるので注意してほしい。

関税が有料になるものについては、一覧表にしておいたので参考にしてほしい。個人輸入する商品については必ずHSコードを調べて、この一覧表に該当しないかどうかを確認してほしい。また、関税が有料になる場合の関税額と消費税額の計算方法もお伝えした。

以上「【バリ島個人輸入基礎知識】輸入関税を無料にする(免税する)方法」としてお伝えした。